「大きな石」から先に入れる ― 伝え方も同じ

ある大学教授の、有名なたとえ話があります。

教授が大きな壺を取り出して、大きめの石をいくつも詰めていきます。

「これ以上入ると思う?」と学生に聞くと、「もう無理です」との答え。

すると教授は小さな石を取り出して、隙間に詰めていきます。

「まだ入ったね。もう限界かな?」

学生たちが「さすがにもう無理です」と言うと、今度は砂を、最後には水を入れていきます。

「僕が何を言いたいかわかるかい?」

学生が「無理すれば埋められる、ということですか?」と答えると、

教授は言いました。

「違うよ。大事なものを先に入れるんだ」


この話、「伝える」ということにもそのまま当てはまると思っています。

プレゼンや資料作成をするとき、つい考えてしまいがちなのは

「どんなデータを載せよう」 「デザインはどうしよう」 「あのエピソードも入れたいな」

といったこと。

でも、これらは「小さな石」や「砂」にあたるものです。

本当に最初に決めるべきは、「誰に」「何を」伝えるか。

ここが「大きな石」です。


相手は何を知りたいのか。 こちらは何を伝えたいのか。

この2つが決まると、他のことは必然的に決まっていきます。

相手を説得するために、どんなデータが必要か。 こちらの目的を伝えるために、どんなトーンで話すべきか。

迷うことが、ぐっと減ります。

そして、時には「自分がどうしても言いたいこと」を我慢することも必要になります。

言いたいことと、伝えるべきことは、違うこともあるからです。

それも、「誰に」「何を」が明確だからこそ、判断できるのだと思います。


たとえば、このイラストをご覧ください。

これは、知り合いの先生から「サボテンのキャラで好きなイラストを注文していいよ」と言われたときにお願いしたものです。

どう見えますか?

サボテンが、相手をまっすぐ見ながらプレゼンをしている。

少なくとも、グラフを使って何かを説明しているのは伝わりますよね。

これが、目的を持って伝えるということです。

「どんな絵にしようかな」ではなく、「何を伝えたいか」が先にある。だから、イラストレーターさんにも迷いなくお願いできました。


大きな石が先に入っていれば、小さな石や砂は自然と隙間に収まっていきます。

逆に、大きな石を決めないまま小さな石で壺を埋めてしまうと、一番大事なものが入らなくなってしまいます。

伝えたいことがたくさんあるときほど、まず立ち止まって考えてみてください。

「誰に」「何を」伝えたいのか。

そこさえ決まれば、あとは自然とついてきます。